【読書日記】 ウルトラマンが泣いている (円谷英明)

ウルトラマンの製作で知られる円谷プロ。特撮の神様として知られる創設者円谷英二の孫にあたる著者が語る、混乱した運営の記録。

円谷英二の死後、その運営は3人の子息によって引き継がれた。映像の制作に力を入れて行くものの経費管理がうまく行かずに赤字が積み重なって行く時代もあれば、キャラクタービジネスに力点を置く一方で制作面が衰退した時代もある。経営者が私腹を肥やすようなことも、著者によれば、見受けられた。

そんな混乱した運営のなかで、円谷プロの運営は一族から切り離され、現在に到っている。新作は製作されず、引き続き残っているキャラクターとしての魅力を、CMやキャラクターグッズの販売で活用している形。

このような状況を一族である著者は嘆き、何とか初心に戻った新作の製作や海外での展開などをすべき、と主張しているのが本書。

正直なところ、関係者の一方の主張だけを聞いてもその正当性は分からない。けれども、最新の技術を用いていたという初期ウルトラマンの魅力は、現在にそのまま移して行くのは難しいのではないか。誰もが知るキャラクターとしての意味は大きいが、「最新技術」を使うとすればCGなどを駆使することとなり、「特撮」の伝統はなくなる。一方で「特撮」にこだわれば、映像としての魅力は現代においては見劣りすることになる。

結局はビジネスの問題、と割り切れるかどうか。著者自身は、割り切れていないように思うし、2代目、3代目がよく陥る難しさなのかもしれない。

個人的には、「特撮」よりは「キャラクター」を活かして行くのが一番では、と思うが、そうもいかない人も多いのだろう。

(講談社現代新書)


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