【読書日記】 空白の天気図 (柳田邦男)
日本のノンフィクション界の大御所による、1975年の作品の再文庫化。今回の震災と原発事故をうけ、関連する著作の再版を版元に交渉して実現したプロジェクトの一つ。
題材は、原爆投下後の広島市の様子と、その傷も癒えないないうちに体験した「枕崎台風」による土石流などの被害。さらには、そんななかで気象台の人々がどんな活動をしたかを詳細に描いている。
後からの目線で物事を語るのではなく、その時の実際の人々がどんな情報をもち、どんな気持ちで行動をしていたかを、当時の資料やインタビューなどの取材で調査する、というのが著者の方法論。それは、本書でもそうだし、1971年のデビュー作である「マッハの恐怖」でも共通している。
本作では、広島気象台の技手を狂言回し的に取り上げ、彼を中心とする気象関係の人々の行動を描いている。彼らの行動は、戦争や天災という厳しいものに対しても、職業上の使命感から気象観測は怠らず、その影響調査を率先して行なうなど、ヒロイックにも見えるもの。だが、著者は彼らをヒーローとして扱うのではなく、そのほかの市民も躁であっただろう、「職業意識の高い人々」の一例としてみていること。電車の運転士もそうだったろうし、郵便局や電話局の人々もそうだが、前代未聞の出来事に対しても、自分の職分に対する使命感をもち、その職分を全うする、「有能な職業人」があってこそ、問題は解決に向けて前進していく。
著者が本書を再版させたいと思ったのも、原発事故と原爆という直接的な問題の関連ではなく、原爆投下後にもそれぞれがその職分も全うすることにより、「50年は人が住めない」といわれた広島の再興がなされた、ということを示すたいという思いなのだろう。
今回の震災や原発事故でも、こういった「職分を全うする」動きは随所に見られており、それこそが日本の強さの現れであり、誇りとすべきこと。
30年以上前の作品なのだが、再読して良かった。確か小学生時代に読んだ「マッハの恐怖」も再読してみたい。
(今考えると、ませた小学生ですなぁ・・・)
(文春文庫)
題材は、原爆投下後の広島市の様子と、その傷も癒えないないうちに体験した「枕崎台風」による土石流などの被害。さらには、そんななかで気象台の人々がどんな活動をしたかを詳細に描いている。
後からの目線で物事を語るのではなく、その時の実際の人々がどんな情報をもち、どんな気持ちで行動をしていたかを、当時の資料やインタビューなどの取材で調査する、というのが著者の方法論。それは、本書でもそうだし、1971年のデビュー作である「マッハの恐怖」でも共通している。
本作では、広島気象台の技手を狂言回し的に取り上げ、彼を中心とする気象関係の人々の行動を描いている。彼らの行動は、戦争や天災という厳しいものに対しても、職業上の使命感から気象観測は怠らず、その影響調査を率先して行なうなど、ヒロイックにも見えるもの。だが、著者は彼らをヒーローとして扱うのではなく、そのほかの市民も躁であっただろう、「職業意識の高い人々」の一例としてみていること。電車の運転士もそうだったろうし、郵便局や電話局の人々もそうだが、前代未聞の出来事に対しても、自分の職分に対する使命感をもち、その職分を全うする、「有能な職業人」があってこそ、問題は解決に向けて前進していく。
著者が本書を再版させたいと思ったのも、原発事故と原爆という直接的な問題の関連ではなく、原爆投下後にもそれぞれがその職分も全うすることにより、「50年は人が住めない」といわれた広島の再興がなされた、ということを示すたいという思いなのだろう。
今回の震災や原発事故でも、こういった「職分を全うする」動きは随所に見られており、それこそが日本の強さの現れであり、誇りとすべきこと。
30年以上前の作品なのだが、再読して良かった。確か小学生時代に読んだ「マッハの恐怖」も再読してみたい。
(今考えると、ませた小学生ですなぁ・・・)
(文春文庫)