【読書日記】 日本のもの造り哲学 (藤本隆宏)
「もの造り経営」の研究をリードする経済学者による著作。先日読んだ「日本型プロセス産業」が学術的な論文集の趣が強かったのに対し、本書は読みもの的。書かれた時期も本書が2004年と早く、より「日本のもの造り」に対する著者の考え方の「もと」が分かる。
基本的な考え方は「日本型プロセス産業」で展開されているものと同じ。
・もの造りプロセスを大きく二つに分けると「すり合わせ型」と「モジュラー型」の2種類がある。
・すり合わせ型は、複数以上の工程のバランスをとりながら最適なプロセスを構築する必要がある。
・モジュラー型は、各部分の最適化をしてあとはそれを組み合わせれば全体としても最適なプロセスとなる。
・すり合わせ型がフィットするかモジュラー型がフィットするかは、各製品の「アーキテクチャ(設計思想)」による。
・例えば、自動車は求められる機能(乗り心地、走行性能など)を複数の部品(サスペンション、エンジン、ボディ)で総合的に提供しているため、各部品の設計段階から総合的な判断が求められるすりあわせ型。
・他方、テレビなどは、液晶パネル、テレビチューナーなど各部品を集めて組み立てれればそれなりの品質が提供できるモジュラー型。
・日本の企業は、すり合わせ型に強みをもつところが多く、課題はその強みを収益力に結び付けていく経営戦略。
・すり合わせ型のアーキテクチャ製品が一定のシェアをもつ製品領域に自らを置いていく、という転換もあるし、
・すり合わせ型の強みを生かしつつ、苦手とするモジュラー型への対応も行い、自らを強めていくという方針もあるし、
・業界に影響力を与えることですり合わせ型アーキテクチャの製品でシェアを握るようなことも考えられる。
・いずれにせよ、「もの造りが強い」という一般的に言われていることをより深掘りしていくことが大事。
各種のエピソードも含めて納得でき勉強になる内容。一つだけ解決されなかったのは、「なぜ日本企業はすり合わせ型が得意なのか」という疑問。著者の回答は以下の通り
・戦後成長期の特質である、資源(ヒト、モノ、カネ)が足りない状況下で成長を考えなければならない、という状況が、「雇った人は大事にしましょう、確保した下請けさんは大事にしましょう」というやり方が経済的に合理的なものとなり、自然と「長期的な関係」を重視する慣行となった。そのため、濃密なコミュニケーションや緊密な連携といったものが発達し、それが「すり合わせ型プロセス」に強みをもつことにつながった。
そうかもしれないが、でもちょっと弱い気がする。そういった状況は例えばドイツでも同じだったはずだし、台湾や韓国でもそうだっただろう。それでもなぜ「日本」がそうなのか。
この疑問はもう少し考えてみることが必要。
(日本経済新聞出版)
基本的な考え方は「日本型プロセス産業」で展開されているものと同じ。
・もの造りプロセスを大きく二つに分けると「すり合わせ型」と「モジュラー型」の2種類がある。
・すり合わせ型は、複数以上の工程のバランスをとりながら最適なプロセスを構築する必要がある。
・モジュラー型は、各部分の最適化をしてあとはそれを組み合わせれば全体としても最適なプロセスとなる。
・すり合わせ型がフィットするかモジュラー型がフィットするかは、各製品の「アーキテクチャ(設計思想)」による。
・例えば、自動車は求められる機能(乗り心地、走行性能など)を複数の部品(サスペンション、エンジン、ボディ)で総合的に提供しているため、各部品の設計段階から総合的な判断が求められるすりあわせ型。
・他方、テレビなどは、液晶パネル、テレビチューナーなど各部品を集めて組み立てれればそれなりの品質が提供できるモジュラー型。
・日本の企業は、すり合わせ型に強みをもつところが多く、課題はその強みを収益力に結び付けていく経営戦略。
・すり合わせ型のアーキテクチャ製品が一定のシェアをもつ製品領域に自らを置いていく、という転換もあるし、
・すり合わせ型の強みを生かしつつ、苦手とするモジュラー型への対応も行い、自らを強めていくという方針もあるし、
・業界に影響力を与えることですり合わせ型アーキテクチャの製品でシェアを握るようなことも考えられる。
・いずれにせよ、「もの造りが強い」という一般的に言われていることをより深掘りしていくことが大事。
各種のエピソードも含めて納得でき勉強になる内容。一つだけ解決されなかったのは、「なぜ日本企業はすり合わせ型が得意なのか」という疑問。著者の回答は以下の通り
・戦後成長期の特質である、資源(ヒト、モノ、カネ)が足りない状況下で成長を考えなければならない、という状況が、「雇った人は大事にしましょう、確保した下請けさんは大事にしましょう」というやり方が経済的に合理的なものとなり、自然と「長期的な関係」を重視する慣行となった。そのため、濃密なコミュニケーションや緊密な連携といったものが発達し、それが「すり合わせ型プロセス」に強みをもつことにつながった。
そうかもしれないが、でもちょっと弱い気がする。そういった状況は例えばドイツでも同じだったはずだし、台湾や韓国でもそうだっただろう。それでもなぜ「日本」がそうなのか。
この疑問はもう少し考えてみることが必要。
(日本経済新聞出版)