【読書日記】 甲子園が割れた日 (中村計)
1992年夏の甲子園で起こった、「松井秀喜5連続敬遠」。その当事者達はどんなことを考え、感じ、そしてその後どのように消化してきたのか。試合の10年後から長い期間をかけて取材を行い、2007年に出版されたノンフィクションの文庫化。
石川県の星陵高校と高知県の明徳義塾。各野球部の主要メンバー、監督、部長などに丹念な取材を行なっている。
あらゆる意味で「徹底」する全寮制の明徳義塾と、練習には厳しいが明徳に比べると日常生活ではやや余裕のある星陵。勝負に徹する明徳とあるべき姿をも考える星陵。監督のキャラクターでもあるが、選手たちもそのように育ってきている。そんな背景をもった、「5連続敬遠」。
結論としては、「勝負」としては当然あるべき策であり、非難されるべきものでもない。星陵の関係者もそれを認めているし、負けたのは敬遠で出たランナーを得点につなげられなかった星陵の弱さであり、そこをきっちりと抑え切れた明徳の強さ。
ただ、「スポーツ」としては疑問の残る策。特に、リードしていてかつ無走者で松井をむかえた第4打席については勝負すべきであった、という見方も強い。「分かるけど嫌い」というのがこの面からの感情だろう。松井自身もそういったコメントを残している。一方、明徳関係者でこの考え方をとる人間がいないのが面白い。
スポーツとしての野球と勝負としての野球。どちらを優先するか、という点で、両校の考え方は少なくともその当時の関係者については異なっていたということ。野球強国の四国・高知と、相対的には弱小である北陸の地域差かもしれない。
読み始めは少し軽めの文体に警戒したが、内容はしっかりしており、久しぶりに良いスポーツノンフィクションを読むことができた。
(新潮文庫)
石川県の星陵高校と高知県の明徳義塾。各野球部の主要メンバー、監督、部長などに丹念な取材を行なっている。
あらゆる意味で「徹底」する全寮制の明徳義塾と、練習には厳しいが明徳に比べると日常生活ではやや余裕のある星陵。勝負に徹する明徳とあるべき姿をも考える星陵。監督のキャラクターでもあるが、選手たちもそのように育ってきている。そんな背景をもった、「5連続敬遠」。
結論としては、「勝負」としては当然あるべき策であり、非難されるべきものでもない。星陵の関係者もそれを認めているし、負けたのは敬遠で出たランナーを得点につなげられなかった星陵の弱さであり、そこをきっちりと抑え切れた明徳の強さ。
ただ、「スポーツ」としては疑問の残る策。特に、リードしていてかつ無走者で松井をむかえた第4打席については勝負すべきであった、という見方も強い。「分かるけど嫌い」というのがこの面からの感情だろう。松井自身もそういったコメントを残している。一方、明徳関係者でこの考え方をとる人間がいないのが面白い。
スポーツとしての野球と勝負としての野球。どちらを優先するか、という点で、両校の考え方は少なくともその当時の関係者については異なっていたということ。野球強国の四国・高知と、相対的には弱小である北陸の地域差かもしれない。
読み始めは少し軽めの文体に警戒したが、内容はしっかりしており、久しぶりに良いスポーツノンフィクションを読むことができた。
(新潮文庫)