アクセスカウンタ

プロフィール

ブログ名
会社帰りの読書日記など
ブログ紹介
40代サラリーマンによる備忘録です
@読書日記(テーマ=本):会社帰りなので文庫・新書が殆どです。内容も少し偏っています・・・
  ※1:内容別に見る場合は、「テーマ」で「本」を選択してください。
     「歴史」、「エッセイ」、「小説」などのサブテーマを見ることができます。
  ※2:作家別、題名別に見る場合は「読書日記の索引」をご覧下さい。
A相場日記(テーマ=相場):経済・相場に関する出来事・新聞記事への感想
help リーダーに追加 RSS

【読書日記】 ロシアはどこに行くのか (中村逸郎)

2008/12/02 22:21
ロシア現代政治の研究者による、「いま」のロシアの政治情勢の分析。大統領としての治世のあとも首相として権力の中枢に居続けるプーチン氏に関する描写が中心。

エリツィン元大統領から政権を引き継ぎ、おりからの資源市況上昇もあって経済の高成長を実現。その成長を背景に世界政治における存在感を大きなものにした、という大きな功績を上げたわけだが、一方でロシア国内における「民主化」の遅れと強権的な政治手法はしばしば西側から批判されてきた。

本書もその枠に位置するものと言える。プーチン与党による選挙の不正、官僚の増加と復権、グルジア情勢などを例にとった国勢拡大の動きなどを、ロシア市民へのインタビューや、国民から大統領への公開ホットラインの記録を使いながら、実例を挙げて示している。そういった例証を見ると、確かにロシアの状況はプーチン氏に依存しているし、西側の基準でいうところの民主政治が根付いているとは言いにくい。

ただ、これは政治家の問題なのか国民の問題なのか、難しい。国民が「頼れる政府」を求めている状況がしばらく続くとすれば、現在のロシアにおいては民主的な政府と政治が根付きにくいように思える。だからこそプーチンがうまく「はまった」のだろうし、彼自身もそれを理解して様々な行動や演出をしてきたのだろうと思う。

だからといって、それを「良い」とか「悪い」とか言っても仕方がないとも感ずる。付き合うのが楽な相手ではないが、彼らのルールを理解したうえで対応していかないと、結局こちらの利益は確保できない。考えてみると、このことはロシアに限ったことではなく、中国もそうだし他の国もそう。もしかすると日本もそんな風に見られているのかもしれない。

今回の金融混乱後に世界の権勢がどのように変化するかまだ定かではないが、米国流、あるいは欧米流の考え方や作法がその影響力を低下させる可能性もあり、そうなると自然に中国やロシア、ブラジルなどの思考法が重要になってくる。そんなことも意識しながら読んでいた。

(講談社現代新書)
記事へトラックバック / コメント


【読書日記】 寿司屋のカラクリ (大久保一彦)

2008/11/29 13:21
「食」ビジネスのコンサルタントによる寿司業界の解説書。様々な寿司屋の仕入れから店での仕込みや仕事の内容、時代による変化などを紹介する。

回転寿司、大衆寿司、高級店それぞれに仕入の工夫やこだわりがある。どれが良い・悪いということはなく、それぞれに楽しめばよい、というのが著者のスタンス。ただ、「味の良し悪しがわかるのは嗅覚の違いで、これは育ちによるもの。大人になってからはなかなか難しい」、「庶民はタレで寿司を食べる」といった趣旨のコメントからは、著者自身は「味のわかる」存在になりたいという思いを感ずる。

また、寿司が海外に展開し、「SUSHI」として独自の存在になりつつあることを示し、日本料理ではなく日本「風」の料理になりつつあることも、消費者の嗜好に合わせたものとして肯定的に語る。イタリアのPizzaが実は米国や日本におけるピザとは異なることと同様、との認識。

総じて、食文化としての寿司ではなく、ビジネスとしての寿司という観点で割り切って書かれているので、基本的には現状肯定かつ消費者の嗜好に合わせることを前提にしている。その辺がいわゆるグルメ本とは異なるのでそれが面白いが、逆に深みがないと感ずる点でもある。

本書のなかで、優れた大衆店として「寿し常」が大絶賛で紹介されている。行ったことがないのでちょっと心が惹かれたのだが、そのあとで回転寿司の優秀店として「銚子丸」がこれも大絶賛で描かれていた。こっちは行ったことがあるのだが、正直この本での取り上げ方ほど美味しいとも思えなかったので、だとすると「寿し常」も割り引いて考えた方が良さそう。

もう少し宣伝臭を抑えたほうが良かったのでは?と感ずるが、そもそもそういったことを期待すべき本ではなかったのかもしれない。

(ちくま新書)
記事へトラックバック / コメント


【読書日記】 危機の宰相 (沢木耕太郎)

2008/11/27 23:46
沢木耕太郎の初期作品。1977年に雑誌に掲載されたがその後単行本にはならずに来たものを、2006年に加筆、修正をして出版。今回それが文庫化されたもの。

本書のテーマは「日本の黄金時代」とも言える1960年代の経済成長がどのような政策的な背景でもたらされたのかを記すこと。その象徴として池田勇人首相をとりあげ、彼の経済政策である「所得倍増」の立案・実施に絡んだエコノミストである下村治と池田の同志で事務所を主宰した田村敏雄の3人を掘り下げて描く。

3人のなかで実際にインタビューを行えたのは下村だけ、というハンディを持ちながらも、各種の文献や資料を詳細に調査することにより、1960年代の経済成長の裏にあった経済政策のドラマを、その登場人物の人間性も含めてきれいに伝えている。著者もあとがきで書いているが、経済政策のことを書いている割には、スポーツノンフィクションのようなストーリー性とわかりやすさがある。

人を描くことで時代を描こうとするこの作品は今読んでも十分に面白いが、発表された1970年代後半はどうだったのだろうか。少し時代が近すぎて複雑な評価だったのか。著者は同時期に発表した「テロルの決算」の方向に進むことになった、と書いており、より「人」に近づくことになったわけだが、それが自分のなかの問題だけだったのか、周囲の評価も絡んでいたのか、少し気になるところ。

(文春文庫)

記事へトラックバック / コメント


【読書日記】 北京炎上 (水木楊)

2008/11/24 16:14
もと日本経済新聞論説主幹という肩書きをもつ小説家による近未来シミュレーション。今回は、2014年の中国を舞台に、共産党一党支配から民主化に向かう革命運動を描く。

登場人物としては、日本人の新聞記者、その中国人の夫人、反体制運動のリーダー、彼を援助する政界の長老などが主なもの。中南海での中国指導部の会議内容や、重慶での反政府運動、あるいは北京市内各所の描写など、ディテールをきっちりと押さえており、読み応えがある。

日本人の新聞記者の動き方が中途半端なのが気になる。反体制運動に肩入れしきっているわけでもなく、自らの社内での目標とする地位を優先するわけでもなく、結局は夫人との関係を中心に行動しているように描かれているのだが、読んでいて理由がよくわからなかった。単なる自分勝手かつ興味本位の人間に思えてしまう。

いずれにせよ、本書では共産党一党支配は終焉し、中国は各地方政府の連合体としての共和制に移行する。その背景として、経済の減速とデフレ、失業者の急増、官僚の腐敗、軍の政府に対する不満、米国の介入、などが挙げられている訳だが、やはり経済面での問題が民衆の不満を大きくさせた要因。逆に言うと、民衆を「食わせて」いけている間は政府は何とか持つということ。このことは政府当局も十分に認識しているはずなので、逆説的にはそんな政策は打たないとみるのが筋だろう。

そんなことも行っていられなくなるほど情勢が悪化しない限り、本書のようなハードランディングではなく、現在の権力が主導しつつ民主化勢力の要求をある程度満たすようなソフトランディングがメインシナリオではないかと考えており、胡錦濤政権も2012年以後の次期政権にそのことを託すのではと思っている。甘いだろうか。

(文春文庫)



記事へトラックバック / コメント


【読書日記】 突破者 (宮崎学)

2008/11/19 01:52
グリコ・森永事件の犯人として警察が本命視していた人物が1996年に書いた自らの50年史。ヤクザ(暴力団というよりは、古い時代のヤクザ)の家に生まれ、社会の底辺で生きつつも良き先輩に影響を受けてマルクス主義に傾倒。持ち前の頭の良さと集中力で早大に進み、学生運動で武闘派として頭角を現す。結局大学は中退し、一時週刊誌の記者として働くも、その後は家業の土建業に携わる。このあたりからは、暴力団やアウトローとの付き合いも多くなり、その後もバブル期の地上げなど、様々な活動を行なってきた。

というのが内容だが、学生運動までとその後では大きく色合いが異なる。学生運動を描く目線は、一種青春期というか、苦味もあるけれどあのころは良かったという感じ。それに対して裏社会とのかかわりを描いている後編は、それぞれの人生の厳しさと直結するだけにそんな甘いトーンはなくなり、厳しさがます。また、著者の日本社会に対する思いも前面に出てきて、読み物としても堅苦しくなる。

全編を通じ、著者が「スマート」な頭と「ホット」な心と行動力を持った人間であることは伝わってくる。ただし、これはどんな自伝でもそうなのだが、自己弁護的な記述もそこここにあるため、関係者の証言も聞いてみたい気がする。一つだけ言えるのは、著者を「戦後社会のひずみが生み出した犠牲者」とか、「マルクス主義の実践者」などといって美化したりもちあげたりはすべきでないということ。マスコミにはそんなことをしそうな感じもあるので。

(新潮文庫)
記事へトラックバック / コメント


【読書日記】 自壊する帝国 (佐藤優)

2008/11/16 09:32
鈴木宗男議員との関係から起訴されたインテリジェンスに強い外交官による、ソ連崩壊時期の情勢の記録。時期的には処女作「国家の罠」の前に、佐藤氏がモスクワ駐在を始めた1980年代後半から1990年代半ば、ソ連が崩壊し、ロシア共和国となっていく過程を描いている。

事象的にはこのような説明になるのだが、本書の面白さは、学究的な生活を目指していた著者が外交官となり、そのなかでも情報収集・分析にその精力をささげるようになるまでの過程を綿密に描いているところにある。すなわち、世界情勢の裏話的な逸話だけではなく、プロの情報官になるまでのプロセスが具体的な実例として読者の前に提示されている。

本書がすべて事実に基づくものだとすれば(おそらくそうなのだろうが)、著者の頭の良さはすさまじいものがある。神学や哲学に関する学識はもちろんのこと、語学の才能もあり、何より本書をノンフィクションとして記せるだけの記憶力の高さ。今「記憶力」と書いたが、これは著者の集中力の賜物なのだろう。色んな情報を整理していく能力、そしてその整理の過程で日々得た情報をどのように位置づけていくかのマメな作業。そういった積み重ねが本書に結実しているのだと思う。

とはいえ、ふんだんに引用されている情報提供者との会話部分など、本当に全部事実とは思えないところもあるのも事実。このあたりの、「凄い人だが全面的に信用するにはちょっと不安」といったところが、彼が外務省で「浮いて」しまったところでもあるのだろう。

日本のマスコミでこれだけ外交情報や地政学情報の勘所をつかんでいる人も少ないのだから、もっといろんなことにコメントしてもらいたいと思うが、それはあくまで評論家としての活動にとどめて欲しい。彼自身の考えが日本の総合的な国益に本当にはつながってはいないケースもあるし、そんな場合でも彼はその突破力で強引に物事を進めてしまうだろうから。

いずれにせよ、読み応えのある本で、各種の賞を受けたのもうなづける。

(新潮文庫)
記事へトラックバック / コメント


【読書日記】 創価学会の研究 (玉野和志)

2008/11/08 11:12
地域社会の研究者による創価学会に関する研究書。創価学会そのものの調査もあるが、創価学会に対する研究がどのように行われ、それらに対して社会がどんな反応を示してきたかを丁寧に記録している。その調査を通じ、日本社会の変化や特性を浮き彫りにすることを狙う。

終戦直後の宗教としての勃興期、1960年代の公明党を通じた政治的影響力拡大期、1990年代以後の日蓮正宗との別離と公明党の与党化による政策面での影響増大、といった時代的な特徴はあるものの、期を通じて言えるのは、創価学会という存在に対する一種の警戒感。信者に対するマインドコントロール、他宗教や他勢力に対する攻撃的な姿勢、自らの考えを国教化しようと考えているのではないかという疑念、など。

これらの警戒感がどこから来ているのか、が本書においてもポイントとなっているが、明確な答えは読み取れなかった。創価学会躍進の背景として、戦後日本の成長のなかで地方から都市への移住を余儀なくされ、共同体への帰属感を失い地位的にも下位からスタートしてきた勢力(都市下層と本書では記述されている)が、創価学会のコミュニティ感とわかりやすいご利益に魅力を感じてきたことが挙げられている。一種、人々の泥臭い要望に応えてきた存在であり、その意味では田中角栄や美空ひばりといったアイコンに近いものがある。近いからこそ、自民党などの権力側は取り込もうとするし、マスコミなどの「反体制(を掲げている人々)」は警戒する、ということかな、とは思う。

本書を読んで思ったのは、創価学会の成長が上記のような背景によるものだとすると、今後はどうするのかということ。日本全体が一定の生活水準を確保し、また地域的な流動性も低下しているなかでは支持者数の大幅増加は見込めず、現有支持者およびその家族の支持を維持することが目的となっていく。そのためにはご利益を実感させることが必要になるわけだが、彼ら自身の地位も相対的に上昇しているため、これまでのような「弱者の味方」だけではやっていけなくなる可能性もある。

今のところの公明党の政策を見ていると、今回の「給付金」でもそうだが「弱者の味方」を前面に出して国全体のことは考えないという姿勢が明確だが、どこかで限界がくるのか、あるいは自らの政策を巧みに変えていくのか。やはり池田大作師の次の世代の動きがポイント。

本書の記述では、これらの本題のほか、日本の政党支持層の分類が興味深かった。すなわち、本来の意味での労働者層を取り込んでいたのは共産党と公明党であり、社会党は都市部の恵まれた労働者(公務員など)のみ。また、自民党は本来の意味での労働者が成功したクラスである自営業を支持基盤としており、結局自民党にとって脅威となるのは共産党と公明党であった、という内容。現在では若干変っているような気もするが、自分にとっては目新しい考え方であった。

(講談社現代新書)






記事へトラックバック / コメント


月別リンク